校長より

比較的新しい岩高の伝統

わたくし、実は25年ほど前から10年間、岩内高校で働いていました。地歴公民科の先生として、そして演劇部の顧問として私の家族とともに岩内町にお世話になっていました。そして昨年、岩内高校に帰ってきたわけですが、私が岩内高校に勤めていた15年以上前から現在まで続けられている、他校ではあまり見られない風景(?)があります。それは生徒の登校時間、校内に静かなBGMが流れていることです。

私が努めていた頃のあるとき、当時の生徒指導部から「校内の雰囲気を気品高く、そして生徒の気持ちを穏やかにするために、毎朝生徒が登校する時間に合わせてクラシック音楽を校内放送でかけることにします」と提案がありました。当時、多くの先生の頭には「???」が浮かんだことと思います。それでも登校時間にBGMが流れることに反対する理由もなく、「誰がいつ放送をかけるのか?」を確認するくらいで決まったと思います。

実はこの提案が出される数日前に、私は偶然、当時の校長先生からこのことを聞かされていました。だから本当は、その校長先生が生徒指導部にお願いして実現させたことを私は知っていました。
その校長先生の思いとしては「バスの関係で早く登校する生徒もいる。そうした生徒が登校したとき、校内にホテルのロビーのような音楽が流れていたら気分がいいのではないか?他の生徒にも同じことが言えて、心落ち着いて学校の一日が始まるのではなかろうか。流す音楽はモーツァルトがいいな。科学的にもモーツァルトの曲にはさまざまな効果が認められているようだし。」こんなことをお話ししていたのですが、きっとすでに生徒指導部に指示を出された後だったのでしょう。

かくして始まった「朝のBGM」。岩内高校の生徒玄関を入ると眼前が一面のガラス張りで、その先には階段状になっている広い中庭が広がっています。生徒玄関には吹き抜けもあることから抜群の開放感があります。こうした中に登校してきて聞こえてくるのはモーツァルトです。まさに立派なホテルのロビーに足を踏み入れたような気分になれます。

この取り組みを始めてから15年以上たっていますが、先生方は今でも引き継いでくれています。現在は流れている曲がクラシック音楽に限らず、気持が癒やされそうな曲も流れています。本当に効果があるのか?正直に言うと分かりません。ただ登校してきてBGMが流れる中、階段を上り廊下を歩き、教室までの道のりで心が少し軽くなることは間違いありません。始めた当初には先生方からも「いい雰囲気ですね」という声が上がりました。

「生徒に良さそうなこと」を頑なに続けることも、岩内高校いいところかな?と思っています。